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博多区マンションのリノベーション④(タレルを思い出しながら編)

今日は福岡、博多区のマンションのリノベーションで使用する造作家具設計のお話をしたいと思います。今回は寝室の仕切りとして床から天井一杯までの本棚(シェルフ)でぐるっと囲みます。

↓こんなプランです。

そもそも造作家具とは何?っていうことですが、これは「建築化された家具」という意味合いで使われることが多いです。

通常、ダイニングチェアーやテーブル、テレビ台等の家具屋さんで買う家具は「置き家具」と言ったりします。

造作家具は建築に絡んでくる家具ですので、リノベーションの場合、解体したらビックリ。見えないところにこんなものがあった!っていう問題が多々起こります。

今回もその解体したらビックリ事案がこの造作本棚に起こりました。

↓これが出てきました。

これは何かというとマンションの共用部側から占有部(室内)側に引き込まれた、非常ベルとインターホン、電話線の引き込み口です。これらのことを「一次引き込み」と言ったりします。これは躯体内(構造内)に埋設され配線されてありますのでこの位置から動かすことは出来ません。ですから何とかして対処する方法を考えます。

幸いにも本棚に少しだけ絡む程度の場所でしたので寸法の調整とこの非常ベル、インターホン、電話線の隠蔽ボックスを製作することにし配線自体は梁下から壁まで鉄管にて逃がすことにしました。(これは分かりづらいので追々このブログに施工後の写真をアップします)

そして、本棚ですが、このようなデザインです。

 

このように大きな家具を設計する場合、まず念頭に置いておかなければならないのがその搬入経路です。エレベーターに乗せること前提で設計していきます。

今回その問題をどうクリアしようかと考え、ひとつアイデアが浮かびました。単純ですが「分割すること」です。単位ユニットで製作する事でまず搬入問題を解決しようと。

ただ、分割して工場で製作し、それを単純に現場で合体させるだけじゃ「分割線」が必ず出てきます。そこでまた考えます。

↓この図は本棚の縦の板(方立と言います)のものです。2分割のものを現場でジョイントし、そのジョイント面はステンレスのフラットバーという板材で仕上げシャープに見せ分割ラインを消し、48ミリという寸法(スイッチやコンセントを仕込む為、電材用の寸法が必要になります)が太く見えない様にギャップを作り9ミリ、9ミリの見附のデザインにしています。(ぐぐぐぐ、説明がめちゃくちゃ難しいww出来上がったら写真アップします!)

こういう細かいことをきっちり熟考して設計(ディテールの設計)することで「分割されていることを感じさせない」デザインを成立させることが出来ます。

また、棚の量が多いので出来るだけ軽い印象に見せるために棚自体にも一手間加えます↓

30°のテーパー処理(小口面を斜めにすること)を加え棚自体を軽く見せます。(これも現物を見ないと中々伝わりづらいので完成したら写真をアップします)

余談ですがこのテーパー処理の効果は単純なようですごく印象をつくります。例えば皆さんはジェームスタレルをご存知でしょうか?

この写真はオープンスカイという作品なのですが、(写真じゃ伝えづらい。。。圧倒的すごさはやっぱり現物を見るしかないです)天井面をくりぬいているだけなんですが、実はこの開口部にテーパー処理がされてあって、その空の切り取られ感が、もう何と言うか大げさではなく現実感を失うほど目眩を引き起こす光景です。実際この作品を見たとき僕は本当にクラクラして現実感を失いましたw

当時この作品を見たのは確か20代中盤だったと思うのですが今でもはっきりとその目眩を覚えています。

タレルの作品は光を使ったすごくシンプルというか洗練された作品が多く、現実感を失わせる目眩を引き起こすものばかりなので是非体験してみてください。

日本国内では直島で彼の作品のいくつかを見る事が出来るので是非見に行ってください。

それではまた!

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