現場調査から学ぶリノベーション前に知っておきたいこと Vol:8
〜管理規約関連事項〜
今回の記事では管理規約関連事項を取り上げます。
主に管理室や管理組合、管理会社に事前に確認しておく事項を取りまとめます。
管理規約によっては着工の1ヶ月前までの資料、書類の提出が定められているケースもあり円滑な工事着工と工事中のトラブルを避けるために当社では「デザイン契約」締結後すぐにこれらの作業を先行して進めています。
下の質疑応答書を管理室や管理会社とやりとりして基本事項の情報を集めます。
管理規約関連事項の確認
管理規約関連事項の確認で特に重要な項目を以下の表にまとめています。
確認事項 | 確認理由 |
---|---|
工事申請書類 | 工事申請書の提出が必要なケースが多くあります。工事着工の2週間〜1ヶ月前に提出を定めているところが多いです。専用の書式があるか等を確認します。また工事概要や工程表の提出と掲示を求められることもあります。 |
近隣同意 | 物件によっては近隣の居住者の同意書が必要なことがあります。実際に書面にサインしてもらう必要があるので近隣の居住者の同意を得るために時間を要することもあります。 |
工事時間 | 日々の作業可能時間を確認します。また土日祝日の作業の可否も確認します。工事可能時間は工期に大きく関わってきます。 |
床の遮音規制 | 床の遮音等級がリノベーション時に定められているかを確認します。物件によって求められる遮音等級(L45やL40)が違います。リノベーション後の近隣との騒音トラブル防止のための必須事項になります。 |
スリーブ穴開け加工の可否 | 配管等による構造体への「穴開け」(コア抜き)の可否を確認します。※ほどんどの物件でコア抜きは禁止されています。 |
駐車場 | 工事中は職人や資材運搬で車両の出入りが多くなります。マンション内の来客用駐車場の使用可否や工事車両の駐車が可能な場所があるかどうかの確認を行います。ない場合は近隣のパーキングを利用することになるので場所や駐車料金を確認します。 |
工事申請書
マンション毎に工事申請書のフォーマットが定められていることがあります。
次のような書類を管理会社側から取り寄せて申請することになります。
またマンション側の規定に沿って、エレベーターと掲示板用の掲示資料を用意し管理会社の定める場所への掲示を行います。
物件にもよりますが掲載内容として工事概要、工事期間と時間、注意事項、工程表の掲示を求められることが多いです。
以上の申請関連業務を適切に行うことで円滑な工事と居住者とのトラブルを防止することができます。
近隣同意
まれなケースではありますが物件によっては近隣の同意書を得る必要があります。
近隣住民のサインやハンコを書面上で受け取る必要があるため、着工日のかなり前段階から準備をしておく必要があります。
実際にお宅に訪問して同意を得る必要等があるのでお施主さまにご協力をお願いすることもあります。
また、同意書が必要ないケースでも近隣さまへの挨拶が工事中の騒音クレーム防止につながるので当社では着工前の訪問挨拶と書類のお渡しを実施しています。
工事時間
工事可能時間は物件毎に定めらています。
工事開始時間や終了時間も厳格に定められており、厳しいところでは音の出る工事は16時までで17時には完全撤収を定めている物件もあります。
土日の工事不可や音出し工事の時間制限を定めている物件では工期が通常より長くなるケースがあります。
事前に工事可能時間を把握することで施行品質を担保し無理のない工程組みと近隣居住者との騒音トラブルによる工事遅延を防止することができます。
床の遮音規制
床の遮音等級は物件ごとに定められています。
遮音等級は以下のように様々ありますがマンションの場合L45~L40の等級を求められるケースが多いです。
(引用元:https://jafma.gr.jp/flooring/sound/s03/ 日本複合・防音床材工業会)
遮音規制遵守の手段として規定遮音等級を満たした二重床で下地を組みます。
(引用元:https://www.bankyofloor.com/system/ype/entry-353.html 万協フロアー)
また床上げにより天井高が低くなりすぎるケースの場合は遮音シートを施工する方法もあります。こちらのデメリットは床が少し「ふかふか」することです。
(引用元:https://www.atopico.com/product/shaonzai.php わんぱく応援マット)
遮音規制のない物件の場合でもリノベーション後の騒音トラブル防止のために最低でも等級L45での床施工をおすすめしています。
スリーブ穴あけの可否(コア抜き)
「コア抜き」とはマンションの構造に配管などを通すために「穴」をあける作業になります。
どういった場合に「コア抜き」が必要になるかというと、例えば既存の給湯器が「給湯専用」で「追い焚き」仕様に変更したい場合、既存の穴径で配管が納まる場合は問題ないのですが、大きさが足りない場合は追い焚き用配管を通すための穴が必要になります。
マンションの「コア抜き」は基本的に多くの物件で禁止されています。
しかし、現行のレンジフードを取り付ける場合など、この穴が問題になってきたりするケースもあります。
こちらは型式の古いレンジフードと排気スリーブです。スリーブが長方形に開いています。
そしてこちらが現行のレンジフードと排気スリーブです。スリーブが丸型に開いています。
つまり現行のレンジフードを取り付けには「コア抜き」が必要になってきます。
こういうケースの場合、他の居住者がすでにリフォーム工事でコア抜きをしているケースも多くみられますので管理会社と交渉することになります。
駐車場
マンション内で来客用駐車場が使用可能か、資材運搬車の一時駐車の場所などを管理室などと確認します。
工事中は工事車両や運搬車が出入りすることが多いのでトラブルを避けるために近隣パーキングを調べておくことも重要になります。