現場調査から学ぶリノベーション前に知っておきたいこと Vol:3
〜換気設備の現調〜
今回の記事では換気設備(レンジフード、浴室換気、脱衣所換気、トイレ換気)の現調の記事になります。換気設備の既存ルートの確認は間取りやキッチンの移動などに関わってきます。
現場状況をしっかりとおさえてリノベーション後の新しい間取りに対応できるかどうかを確認していきます。
各所の換気ルートは竣工図書で確認したり、現場で実際に屋外の換気孔からの排気を確認したりします。
竣工図によってはかなり鮮明な資料も残っている場合もあるのでリノベーション設計の際には非常に役立ちますね。こちらの竣工図では梁の貫通箇所までわかって間取りを検討する際の根拠になってきます。
換気設備の現調
換気設備の現場調査(以下現調)の現調項目と現調理由を以下の表にまとめています。
現調事項 | 現調理由 |
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レンジフード | キッチンのレンジフードの排気経路を確認します。屋外への排気位置は変更できないため、キッチンの移動やレイアウトがどの範囲で可能なのかを確認します。また同時給排機能がついているかどうかの確認を行います。 |
浴室換気、脱衣所換気 | 浴室、脱衣所の換気扇の排気経路を確認します。屋外への排気位置は変更できないため新しい間取りを考える際の情報として現場の排気経路の確認が重要になります。また浴室換気扇が脱衣所とつながる2室換気設備が入っているかトイレとも繋がる3室換気設備が入っているかを確認します。新しい換気設備のスペックの情報になります。 |
トイレ換気 | トイレ換気扇の換気経路を確認します。換気扇なしの場合は浴室や脱衣所との換気経路を兼用する2室換気や3室換気の換気設備の新規導入を検討します。 |
レンジフード
レンジフードの換気経路の現調を行います。屋外への排気位置はマンションの構造壁に貫通した「穴」を通り排気することになるため位置を変更することができません。そのため既存スリーブ(穴)と同位置への排気となります。
キッチンを既存の位置から変更しアイランド式にしたり2列式にした場合にレンジフードがどの範囲で設置可能かを判断し排気ルートを計画する必要があります。
また新しく設置するキッチンのレイアウトに際して排気経路が梁をまたがないように計画する必要があります。「梁」とは天井面から凸型に出っ張っている構造のことです。
レンジフード本体や梁の高さによっては梁を「横断」することが可能な場合もあります。
梁またぎの換気ルート確保は次に挙げることを理由にNGとしています。
- 「梁またぎ」の換気ルートは床からの高さがただでさえ低い梁下に換気ダクトを設けることは現実的でない
- 換気ダクトを通る排気は基本暖かくなるためダクト内に結露が発生しダクトのサビの原因になるため
ここで実例をもとに説明します。
こちらが既存図(リノベ前の間取り)になります。緑線の「換気スリーブ」という記載がある→が換気経路となります。
図面上、斜線で表記している箇所が「梁」です。この梁をまたいで換気ルートを取ることができないため下の青線の範囲内でキッチンをレイアウトすることになります。
動線、ご要望を考慮して最終的には次のようなキッチンのレイアウトとしておさまりました。
また、既存のレンジフードが同時給排機能付きがどうかを確認します。基本的には新規レンジフードも同時給排気機能付きをスペックします。
浴室換気、脱衣所換気
浴室の天井点検口から換気ルートを確認している様子です。
こちらは浴室の換気扇なのですが3室換気の換気扇が入っていることが確認できます。浴室、洗面脱衣所、トイレの換気をこの換気扇でまかなっているということです。
そこから赤丸でしるした部分でダクトが梁を貫通して屋外側に向かっていることが確認できます。
これらの情報をもとに浴室、洗面脱衣所、トイレの換気ルートを既存図面におこしていきます。
図面上の緑線がこの3室(浴室、洗面脱衣所、トイレ)の換気ルートになっていて屋外側の「換気スリーブ」を通って抜けていることを把握します。
トイレ換気
トイレ換気も他の換気ルート確認と同様の方法で現調します。
団地など築古物件のトイレには窓があり換気扇がないパターンもあります。この場合は浴室換気で2室換気や3室換気の換気扇をスペックしてトイレの換気をとる計画をすることも可能です。