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中動態とデザイン〜選択肢の提供を超えて欲望の喚起へ〜

こんにちは!今日はちょっとややこしい話をしようと思うので興味のない方は飛ばしちゃって下さい!

先日、東浩紀さんと國分功一郎さんの対談の動画を見ました。主題は中動態と悪の愚かさについて。受動でも能動でもない中動。自分を主体とせず相手が主体でもない、現状の受け入れと振る舞い。そんな中動態的振る舞いのことを考えています。

その動画の話から少しそれるのですが、メッセージというSF映画があります。中動態的振る舞いをする女性が主人公の映画です。現在、過去、未来を超越した時間の中で生きているタコみたいな宇宙人(もちろん使う言語も人間の時間感覚を超越しています)と言語学者である彼女が何とかコミュニケーションを取っていくっていうストーリーです。ネタバレになるので余り詳しくは書きませんが、その女性の受け入れがたい未来の受け入れと現状の行動、その後(彼女に起きていた不思議な現象がその宇宙人とのコミュニケーションによって解き明かされます。なんというか、未来は過去で過去は未来っていう時間の世界です)の彼女の振る舞いに心打たれるストーリーの映画です。現状の問題を足掻きながら何とかしようでもない、未来は自分の努力によって決まるでもないし変えられるでもない。ただ目の前の現状を受け入れて自分がどう行動するか。負けるかも知れないし勝つかもしれない、でもそれがどうした。良くなるかも知れないし悪くなるかも知れない、でもそれがどうした。そんな振る舞いの強さの事を最近考えています。受け入れるということ、足掻かないということ。流れにまかせるということ。それは一見投げやりの様に見えるけど実は強いという事だと思います。

そして本題ですが(笑)、その対談の中で國分さんが言った一言は凄く印象に残っています。看護師さんが集まる講演会でのことだったそうです。リンゴジュースとオレンジジュースがありますがどっちにしますか?という様な話を看護師さんは患者さんと毎日何回もするそうです。そんな状況に疑問を感じてる看護師の方が沢山いるようで、國分さんはこういったそうです。「選択肢を提供する」じゃなく「欲望を喚起する」って事を考えればいいのでは?と。何でもいいのですが、例えば今日はリンゴジュースが果汁100%だから香りが楽しめてリンゴジュースがおすすめですよ!とかっていうちょっとした声掛けで随分変わってくると思います。

デザイナーとして私の心にもこの言葉はスッと腑に落ちました。やっぱりリスクヘッジしようとして、あれもありますしこれもあります、さぁどっちにしますか?っていう仕事の進め方は余りしっくり来ません。そうじゃなくて「これどうでしょうか!」って自信を持って言える提案をしていきたいと思っています。やっぱり決めるのはお客さんで無理強いする事は違うと思ってますが(これは過去の苦い経験から学びました笑)、「選択肢の提供」じゃなく「欲望の喚起」の仕事をしていきたいなぁと。考え抜き自分が自信の持てる提案をする事、でもお客さんに決定権があり絶対に無理強いせず流れに任せること。そういう中動態のスタンスで仕事をしていきたいなと思っています。提案が通るかも知れないし、通らないかも知れない。でもそれがどうした。それは決して投げやりじゃありません。僕ができるのは予算や意匠、あらゆる意味でただ淡々とその現状の中で準備をするという事です。

この言葉で仕事や人間関係についてどういう振る舞いをしていくかって事がしっかりと言語化出来たなと思いました。

ではでは!

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